■ バナナを通して世界と日本を見つめなおす
日本で最も愛され、食べられている果物、バナナしかし、その生産現場を私たちが目にすることはほとんどありません。日本のバナナの主要な輸入先であるフィリピンのミンダナオ島では、近年、「高地栽培バナナ」の生産が盛んです。日中と夜の寒暖差が大きい高地で時間をかけてつくられるバナナが、日本市場向けに開発されました。
この高地栽培バナナは、一般的なバナナよりも糖度が高く「甘くておいしい」と人気の商品で、島の豊かな自然の恵みとも謳われてもいます。ところが、生産現場を訪れると、農薬の空中散布にさらされて暮らす生産者や近隣住民の姿がありました。人びとは皮膚や目の異常を訴え、飲み水の汚染にも苦しんでいます。企業と契約を結んだ人びとからは、不透明で不公正な契約に対する怒りの声も聞こえてきました。
一方、ミンダナオ島には、公正な取引と農民の自立、農薬を使わない栽培を目指すバナナ生産者や、それを支えるパートナーの取り組みも徐々に広がっています。
故・鶴見良行が『バナナと日本人』で私たちとバナナ生産地の関係を問いかけてから約40年。多国籍企業による世界の農業・フードチェーンの支配に対して、私たちは何ができるのでしょうか。バナナを通して世界と日本を見つめなおします。
■ 構成内容
第1部 農薬の空中散布と健康被害(31分)
第2部 公正で持続可能な生産を求める農民・先住民族(27分)
第3部 バナナと日本の40年―私たちの食の未来をどうする?(20分)
■ 監修:石井正子(立教大学異文化コミュニケーション学部教授)
田坂興亜(アジア学院理事・元国際基督教大学教授)
■ 監督:村上良太
■ ナレーション:志摩 淳
■ 監修協力:大江正章
■ 企画協力:株式会社オルター・トレード・ジャパン(ATJ)
■ 特別協力:印鑰智哉
■ 協力:一般社団法人 農民連食品分析センター/エシカルバナナ・キャン
ペーン/株式会社 アクロスエンタテインメント/特定非営利活動
法人 APLA/特定非営利活動法人 ビラーンの医療と自立を支える
会/Studio Cross Edge
■ 制作:特定非営利活動法人 アジア太平洋資料センター(PARC)
DVD/16:9/片面2層/カラー/日本語/本編78分